サマリー
オペレーティングリースは、航空機やコンテナなどの動産を一定期間リースすることで、初年度に大きな損金を計上できる節税手法。リース期間満了後は物件を売却して利益を得る。決算対策として使われることが多く、突発的な利益が出た際の税負担を軽減できるメリットがある。ただしリスクもあるため、慎重に検討する必要がある。
ポイント
1. オペレーティングリースの仕組み
事業者が航空機やコンテナなどの物件を購入し、それを企業にリースする。リース料で利益を得るとともに、物件の償却費を損金計上する。
- 事業者は金融機関からの借り入れと投資家からの出資で物件を購入
- 物件を企業にリースし、リース料を得る
- 動産は定率法で償却でき、初年度に大きな損金計上が可能
- リース期間満了後は物件を売却し、売却益を投資家に分配
2. オペレーティングリースのメリット
決算対策として有効な手法で、初年度の損金計上によって節税効果が高い。支払いは1回のみで、リース期間中の資金繰りを気にする必要がない。
- 初年度に60~80%、2年目に10~30%の損金計上が可能
- 支払いは1回きりで、その後はリース料収入が安定的に入る
- 匿名組合を通じて出資するため、貸借対照表に計上されない
3. オペレーティングリースの対象と耐用年数
航空機、船舶、コンテナ、トラックなどが主な対象。耐用年数は以下の通り。
- 航空機:10年
- ヘリコプター、グライダー:5年
- コンテナ:4年(新品)、3年(中古)
- トラック:4年(新品)、3年(中古)
ただし実際の稼働年数はこれより長く、航空機で20~35年程度。
4. 定額法と定率法の違い
減価償却費の計算方法には、定額法と定率法がある。オペレーティングリースでは定率法を使うことが多い。
- 定額法:毎年均等額を償却。1億円の物件なら年1000万円ずつ10年で償却
- 定率法:初年度の償却額が大きく、徐々に減少。初年度2000万円、2年目1600万円など
- 6年目以降は改定取得価額の年5%を下回るため、均等償却に切り替え
5. テコの原理(レバレッジ効果)の活用
物件購入に自己資金を少額しか使わず、大部分を借り入れで賄うことで損金計上額を大きくできる。
- 1億円の物件を自己資金3000万円、借入金7000万円で購入
- リース料収入とリース満了時の売却益で元利返済をカバー
- 自己資金3000万円に対し、初年度の損金計上額は7830万円に
6. オペレーティングリースのデメリットとリスク
リースは長期の契約で中途解約できず、資金が固定化する。為替リスクもある。
- 円建ての商品が少なく、多くは外貨建てで為替リスクがある
- リース満了時の売却価格が予想を下回るリスクがある
- オペレーター(借り手)の信用リスクに注意が必要
- 節税メリットを狙った税制改正のリスクもゼロではない
- 物件の損傷などによる損害賠償リスクに備えた保険も必要
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